「しまった・・・!!」

「ふはは、残念だったな。逃げるのは癪だが、この場は・・・」


そう言って、何処かへ飛び去ろうとするのを見て、花音は咄嗟に矢を放った。

矢は、化け物化した男の顔をかすり、僅かに動きを止める。

その間に、背に翼を出した風夜が飛び上がり、男の前を塞いだ。


「・・・逃がすと思うか。・・・お前は、此処で俺達に倒されるんだ」


言うと同時に、風夜が風の刃を放つ。

それに合わせて、花音が火の矢を放つと、風の刃と合わさり、男の身体を容赦なく切り裂き、焼いていった。

翼を焼かれた男の巨体がそのまま落下していくのを見て、花音は叫ぶ。


「今だよ!!」


その声に、夜天達が落ちていく男に向けて、其々溜めていた力を放つ。

それらは、男の身体へと命中する。

宝珠の力と相性の関係で強まったそれらの攻撃を防ぐことも出来ず、全て受けた男の身体は強化してあるとはいえ、耐えきることは出来なかったようだった。


「そんな、馬鹿な・・・、この私が・・・、最強の存在になったはずの、私がぁ・・・」


その言葉を最後に、動かなくなり、消滅していく。

それが実験を繰り返し、何人もの命を弄んできた研究者の最期だった。