愛しい君へ贈る詩





「じゃあな」

「あっ…」








そう言うと、その男は人混みに紛れ、校舎の中へと入って行ってしまった。
ポツンとその場に残された結衣は、暫くその場所から動けないでいた。









「名前……聞けなかった。せっかく、昨日の人に会えたのに……」








そう。
実はさっき結衣にぶつかり、助けた男こそ、昨日結衣が美術室から見かけた彼なのである。
そのことに気付いた結衣は、ドキドキし過ぎて、自分でもどうしたら良いのかわからなくなってしまったのであった。
せっかく名前を聞くチャンスであったのに、聞くことができず、結衣はガッカリしたまま、教室へと向かった。