「そーそー。泣かせちゃったんだよ」
次の日の昼休み。
愛と広田と仁と四人で屋上で昼ご飯だ。
新学期が始まってまだ一ヶ月経ってないけど、もう四人でいることが普通になっていた。
こうやってお昼をとるのも。
「やっぱ佐山は台風女だな」
「台風じゃありません。元気なんです。」
「昔から自身もってる奴の鼻へし折るの好きだったもんな、真理。」
「もう、仁まで」
「相川さんもだけど、いっぱい仮入部に来て欲しいね。それで、仮入部に来た子がみーんな入ってくれるといいなー」
「女子テニス部100人計画っていうけど、実際100人も入ったら運営が大変そう。なんだかんだで去年みたいに60人くらいがちょうどいいんじゃない?」
「うーん、たしかにそうかもしれない…」
「部活動ってやっぱめんどいな。俺帰宅部でよかった」
「そんなことないぞ。部活での経験は、かけがえのないものだ」
「いいこと言うね、仁。ほんとにそうだと思うよ」
「ま、俺には帰宅部が一番だわ。帰る時間縛られないから毎日愛と帰れるし」
「広田、無理しなくていいんだよ?いつもずっと待ってるよね?」
「いいんだよ。俺が一緒に帰りたいだけ。」
そのまま二人の世界に入る。
またかよと思いながらも、ちょっと羨ましかったり…
「あーあ、私も一緒に帰る人がいたらなぁ」
ふと呟いてみた。
「真理、そんなに飢えてんのか?」
「飢えてなんかないよ。でも、一人より二人の方がいいでしょ。仁はいつも自主トレしてみんなより遅く帰るから一人が当たり前かもしれないけど、みんなと同じ時間に帰る私は毎日見たくもないラブラブカップルを何組も見て帰ってるの」
「ふーん。」
会話が途切れる。
あー、何この沈黙。
私最低、なんかもっと話盛り上げろ!!
でも何話せばいいの?
パニックなう!!
「俺と帰る?」
唐突に仁が口を開いた。
「え?」
「部活終わり。一人、嫌なんだろ?」
「た、たしかにそうだけど…」
「じゃ、決まりだな。どっちが早くても、校門で待っとくってことで」
「で、でも仁は自主トレしてるし…!」
そう言いながらも、本当は一緒に帰りたかった。
仁は純粋に私への親切で言ってるんだろうけど、私はとても嬉しかった。
でも、仁の練習の邪魔はしたくない。
「別に。家でもできることだから。」
「ほんと?」
「ああ」
「ちょっとちょっとお二人さん、俺らを置いてきぼりにしないでください?」
「ください?」
ラブラブはもう終わったのか、愛と広田が話に首を突っ込む。
「えー、まずお二人の関係から」
「お二人はぁ、恋人なんですか?」
目をキラキラさせるバカップル。
「な、」
「こ、」
言葉が出ない。
仁も顔を真っ赤にしている。
「あれあれ、二人して顔を真っ赤にしてー」
「でもでも、一緒に帰るんですよね?」
「う、それは、」
「そう」って言っていいの?
「そうだ」
仁…!
きっぱりと言った仁、イケメン!!
「おおー!!」
いちいちリアクションがかぶるバカップル。
「もう付き合っちゃえば?」
「ひ、広田、何言ってんの」
「そうだぞ、ただの幼なじみだ。家が近いから普通だろ」
ぐっ、やっぱりそうですよね。
はぁ、でもはっきり言われるとこたえる…。

