もう無理だ。
この人らとは関わりたくない。
「千鶴ちゃんっ!」
気づいたらバッグも捨てて走ってた。
いや、逃げてた。
「なんなのよっ…!
みんな、あたしのこと騙して!」
本当は……騙してるのかはわからない。
あたしの勝手な解釈かもしれない。
少なくとも、バカなあたしの脳ではわからないくらいのことが起こってる。
「……やっと、気づけたのにっ……!
あたしの気持ち!」
「伝えようとしたのに……!」
里原に。
でも、それも叶わなくなった。
杏里がいたから。
杏里の気持ちも知っちゃったし。
「え……じゃあ仁香は………」
あたしは走るのをやめた。

