ま、わたしも人のこと言えないか。
ソファーの正面にまわると、やっぱり寝ていた。
改めて見ると、違う印象を受ける。
男のくせに長い睫毛とか、綺麗な肌、パーマなのかふわっとした髪の毛…
あ…
肩が片方だけ濡れているのに気が付いた。
もしかして、わたしを濡れないようにしてたから…?
なんて、考えすぎかな。
濡れた服を拭こうと、濡れていないタオルで肩に手を伸ばしたところで、閉じていたはずの目がわたしを見た。
「あ….」
それは、あまりにも近い距離で。
きっと誰かが見たら、わたしが男の人に乗り掛かるような光景に見えるかもしれない。
「何してるの?」
耳元に響く低い声が、少しくすぐったかった。
すぐに離れたかったけど、あまりにも驚いてしまって、身体が動かせなかった。
「…濡れてたから」
「気遣いありがとう。
でも、今の状況はさすがに」
「……………」
さっきまで見下ろされていたわたしが、今では見下ろす側になっていた。
苦笑いする目の前の人を、困らせてみたいと思ってしまった。
あまりにも、良い人すぎるから。
わたしは、そのままキスをした。

