「あ、そうだ。
テレビつけていい?」
3人で夕食を食べた後、承諾を得ないままユキさんはテレビのリモコンを手にした。
テレビは自由に見ていいって言われたけど興味なかったし、コウもニュースは新聞とかで足りていたみたいだから、テレビの電源がついたのは初めて見るかもしれない。
久しぶりに響くテレビの音。
切り替わるチャンネル音。
そして、見たことある顔…
誰だっけ、この顔。
つい最近見たような…
じゃなくて!!!
「ゆ、ゆゆゆユキさん!?」
「そー、ユキ様でーす」
「いや、ユキさんはここにいるわけだし」
「えー、本人だって」
「顔も微妙に違う気もする」
「少し顔違うのはメイクだって」
「自分と似てる人世界に3人はいるって言うしね」
「ハルちゃん…」
そもそもこれ、有名な音楽番組だっけ?
あ、司会の人見たことある。
『えー、次は今話題沸騰中のバンド“The Unknown”です。
変わったバンド名だよね』
『そうなんですよね~。
なかなか良いバンド名思いつかなくて。
僕たちの音楽ってまだ全然有名じゃないし、ほとんどの人が誰?知らないってなるじゃないですか…
じゃ、もう逆にそのままにしちゃおうかってなって』
『斬新だね~。
逆にインパクト大な気がするよ』
『そうだと良いんですけど。
今日の曲を聴いて、“The Unknown”から“The Known”になれば良いな~、なんて』
“それ、別のバンドになってるから”なんて、一緒にいるメンバーにツッコまれて、みんなが笑っている。
わたしもつられて笑いそうになった。
そんなわたしとは別に、横からユキさんのため息が聞こえてきた。

