「危ないから俺がやるよ」
ガラスの破片に手を伸ばしたわたしの手を、コウの手が掴まえた。
大きくて、温かい手。
「……………」
「……………」
コウを見ると、コウもわたしを見ていて、わたしたちは無言で見つめ合った。
それが短かったのか、長かったのか分からない。
コウの瞳に吸い込まれるような感覚。
このままキスだってできるくらいの距離。
「…てか、何でユキに捕まってんの」
「え…?あれはその、」
耳元で囁かれるような声に、くすぐったくなる。
「大人しく俺に捕まってろよ」
「…こ…コウ……?」
気付いたらコウの腕の中に包まれていた。
アルコールと、香水の香り。
ちょっぴり刺激的だけど、嫌いじゃない。
ぎゅっと抱きしめられるのが心地良くて。
温かくて、コウの心臓の音が小さく聞こえてくる。
なんだかすごく安心できる。

