「じゃあ、好きな人とかいる?」

ここで浩の頭に一気に優衣の姿が
現れた。

(どうしよう。優衣のことが好きだけど、
俺、目の前の恵美ちゃんのことも
好きだ。

まずい、どうしよう)

「あの・・・浩君。好きな人って、
いるの?」

(まずい、即答しなきゃ。どっちだ?

どっちを選ぶんだ、優衣か?恵美か?)

さやかの言葉が浮かんできたが、
浩の思考回路は完全に停止してしまった。

「いるってことかなあ?」

恵美の目が潤んできたのが分かった。

浩は答えを出した。

「いる!」

と叫んで浩は恵美を指差した。