最初はぎこちなく会話をしていた浩と
恵美であったが徐々にコミュニケーション
も取れていくと練習もスムーズに
進んでいった。

そして練習を終えた浩が家に帰ると、
いるはずのない時間に父親が今で母親
と一緒に浩を出迎えた。

浩は鞄を置いて椅子に座った。

「あれっ、なんでこんな時間にいるの?

さては会社を解雇されたなあ。

懲戒免職か?ん、何?どういうこと?」

いつもなら笑って返事をしてくれる両親
が黙っていた。

浩は真顔で尋ねた。

「えっ、会社、倒産しちゃったの?」

「そうじゃなくてだな」

浩の父が神妙な顔で告げた。

「急に、急にだな、転勤することになった。

大阪に。今週末」