「アイドルなら何人でも同時に好きに
なってもいいけど、実際に複数の
女の子を好きになった場合は、
そのうちの誰か一人を選ばないと
だめよ。

二股とかしたら相手は傷つくからね。

浩君も同じことされたら、嫌でしょ。

浩君、分かるよね」

「は・・・はい」

さやかが真剣な表情だったので浩は
素直に頷いた。

浩は家の近くのコンビニ迄
送ってもらった。

「じゃあ、元気でね、浩くん」

「さやか、何かあったらいつでも
電話してくれよ、相談にのってやるぞ」

「・・・」

コンビニに入り、新しいグラビア
アイドルの表紙の漫画雑誌を買うと
さやかの話しはすっかり頭から消えた浩は、
家の玄関を開けると、すぐに居間から
母親が飛び出してきた。

「さっき、あんたに電話あったよ。

ほら、掛けなおして」

手渡されたメモを見て浩は少し驚いた。

「今更、なんのようだよ」

バッグを置くと、浩は居間の固定電話
の受話器を掴んだ。