「どうぞ、遠慮なく」

「地区予選の曲は傑作だと思ったけど
今回の決勝の『選べない』は、
そのなんていうか・・・」

浩は驚く様子もなく、椅子に座ると頭
をかいた。

「恵美ちゃんもそう思った?

前作はその時点での自分のベストの曲
を予選に使ったんだ。

まさか決勝に進めると思わなかった
からね。

で、前作の次にいいのが今回の曲
なんだけど、前作が80点なら今回は
60点の出来でさあ。

だからこの曲の大幅なバージョンアップ
をしなければならないって思ってたんだ。

そうだよねえ、恵美ちゃんの言う
とおりなんだ。ありがとう。考えとくね」