ステージの右端に立った浩は客電が
ついた客席を見回した。

中央の観客は、ゲスト目当ての
客であり、
それ以外は出場者の応援関係者と
思われた。

それぞれ目当てのグループに声援が
飛んでいたが、
客席の最前列で浩の真正面にいる浩
と同年代の客の少年は、さかんに浩に
対して何かを言っているように見えた。

演奏中は気が付かなかったが演奏を
終えて袖に戻る時に、
何かを言われたようなことを
思い出した。

司会者の女性がステージの左端に
立った。

緊張の一瞬であった。

すると浩の前の少年が怒鳴るのが、
浩の耳に飛び込んできた。