それに、これは〝普通なら〟の場合。



「誰にやられたの。」



青紫の大きな痣や、火傷の跡みたいなのが足にあるのは。


決して〝普通〟ではない。



「あっ……。」



僕の言葉の意図に気づいた倉橋が、慌ててスカートを伸ばして隠すが、もう遅い。



少しずつ後ろへと後退りしていく倉橋の腕を掴んで、グッとこっちへと引き寄せた。


足を隠すことに必死だった倉橋は、いつもの馬鹿力も無く簡単に倒れ込んで来る。



「い、和泉くん……。」


「言いなよ。それ、誰にやられたの。」



足に大きく残された傷は。


どう考えても、日常でついたものではない。


意図的に、誰かにやられた傷だった。



じゃなきゃ、そんなところに拳の跡みたいな青紫の痣なんて、つくはずがない。