――キーンコーンカーンコーン



と、そのとき。


昼休みを終えるチャイムが鳴って、思考は一度シャットダウンされた。



僕は本を閉じ、倉橋は腰を上げる。



「教室戻ろっか。」



倉橋の言葉に軽く頷いて、僕も立ち上がろうと地面に手をついた。



……このとき。


このとき、風が吹かなければ。


このとき、僕がアイツの足を見なければ。



コイツは一生、闇を抱えたままだったのだろうか。



「……その傷、何。」


「え?」



僕も立ち上がろうとしたとき、偶然にも吹いた、少し強めの風。



スカートが浮いて、あらわになった白い太股。


普通なら罵倒される場面なのだろうだけど、これは不可抗力ってやつだ。



見たくて見たわけじゃない。