倉橋もその噂を知っていて、そしてその噂を聞いて、何故か嬉しそうに微笑んでるんだ。
「あのさー……邪魔なんだけど。」
その上コイツのくせなのか、最近はよく僕の腕に抱き着いてくる。
それもあって、僕と倉橋の噂は中々終わりを見せない。
正直、迷惑極まりない。
「この体勢、嫌?」
なのにコイツにそう聞かれると。
「……好きにすれば。」
そう答えてしまう自分が、よく分からない。
確かに迷惑だけど、嫌かと聞かれれば、嫌じゃないんだ。
矛盾してる、しまくってる。
倉橋は変人だとずっと思っていたが、実は僕の方が、よっぽど変な人なのかもしれない。
最近、そのことについて本気で悩んでいる。


