【完】一粒の雫がこぼれおちて。






しずくが痛がるぐらいの力で、僕よりも小さなその手を握り締めた。


だけどしずくは何も言わず、ただ静かに……。



「里沙ちゃんは、これからも蒼空の傍にいるよ……。」



僕の手を、握り返した。





……それから、何時間が経っただろう。



僕が錯乱してすぐ、仕事を放棄した松江大地が病院にやって来た。



僕たちと同じように医者から話を聞いた松江大地は、目をこれ以上ないぐらい大きくして……。


……その目に、涙を浮かべた。



「里沙……っ。」



松江大地に里沙を預けたことを、後悔してるなんて嘘。


そもそも、松江大地に非が無いことぐらい理解してる。



……昔の里沙は、僕以外に懐かない奴だった。


人見知りで、怖がりで。



だから少し、妬いただけ。


里沙が僕以上に大切にする、松江大地に。