【完】一粒の雫がこぼれおちて。






泣いて泣いて、聞き取れないような御礼を何度も言えば。


蒼空は呆れたように小さく溜息をついて。



「……誕生日、おめでとう。」



そう、言ってくれた。



「んっ……!」



同時に、


重なった唇が愛しくて。


隣にいる存在が愛しくて。


暖かい日常が愛しくて。


何気ない日々が愛しくて。



「来年は、ネックレスと指輪、どっちがいい?」



未来を描く、〝今〟が愛しい。



「ネックレス……かな。」


「……なんか意外。しずくなら、指輪を選ぶと思ったのに。」


「指輪は……。」



ギュッと、蒼空の腕を引いて。


今度は自分から、唇を重ねた。



「指輪は……未来の結婚式にお願いします。」





番外編③

あの日のコートと、未来 END