【完】一粒の雫がこぼれおちて。






それまでは耳に穴を空けることに躊躇していた里沙ちゃんも、それを機に穴を空けた。


せっかく大ちゃんが、自分のために買ってくれたものだからだと。



……例え私が、蒼空からピアスをプレゼントされたとしても。


きっと私は、耳に穴を空けることなんて出来ない。



自分の体に傷を残すことが、とても怖くて。



「これなら、怖くない。」



そんな話をしたこと、まさか蒼空が覚えていてくれたなんて思わなかった。



いつも通り適当に、私の話なんて聞き逃していると思ってた。


覚えていてくれて、その上……こんな誕生日プレゼントをくれるだなんて……。



「あり、がと……っ……ありがとう……。」