【完】一粒の雫がこぼれおちて。






「…………それは、クリスマスプレゼント。」



え……?



「〝それは〟?」



クリスマスプレゼントって、これだけでしょ?


こんな高価なクリスマスプレゼントもらっておいて、これ以上なんて望まないよ?



蒼空は今私にくれたばかりの、オレンジコートのポケットに手を入れる。


ポケットから抜いた手の上にあったのは、小さな四角の箱。



「……こっちは、誕生日プレゼント。」


「誕生日、プレゼント……?」



手渡された箱を開ける。


ゆっくりと。



「イヤ、リング……。」


「それなら耳に穴も空けないで済むし、怖い思いもしなくていい。」



それは何気なく、数週間前の昼休みに話したこと。