【完】一粒の雫がこぼれおちて。






「あのさー、さっきも言ったけど。自分の服を彼女が着てるってのは嬉しいし、しずく自体も違和感が無いほどに似合ってたけど……。」



似合ってたけど……?



「……やっぱり男物の黒より、そっちのが似合う。」



パッとコートを前から肩に合わせて、まるで小さな子供の服を選ぶときみたいな状態。



「それに、あのコートはぶかぶか過ぎ。あれじゃ服を着ているというより、服に着られてるよ。」


「なっ……ど、どうせ私はチビだもん!!」



大きな嬉しさと、小さな怒りがごちゃごちゃになってる私。



でも本当にコートは嬉しくて。


蒼空のコートを手放す気にはなれないけど、このコートをもらったからには、当然着たいと思う。



それにこのコート……物凄く私好みで、可愛い……。