【完】一粒の雫がこぼれおちて。






開けていくうち、箱のメーカーが見えてギョッとした。



「蒼空!! こ、これ……有名なブランドの……っ!」



今時の女の子じゃなくても知ってる!って言えるぐらい。


有名ブランドの沢渡コーポレーション。


とても規模の大きいブランドの服屋さんなのに……。



……もしかして……。



「このために、バイト……?」



横でブラックコーヒーを飲んでる蒼空を見るも、本人はしらーっとした顔をしている。



「っ……。」


「……開けてみれば?」



涙を堪えて、恐る恐るというように〝SAWATARI〟と印された箱を開く。



……中に入っていたのは。


「綺麗……。」



赤でもなければ、茶でもない。


でもオレンジってわけでもなくて。



だけど、暖かい。


太陽の色みたいなコート……。