【完】一粒の雫がこぼれおちて。






「というか、好きな女と一緒にいるだけでドキドキするし……。」



〝はじめて〟〝好きな女〟〝ドキドキ〟



……蒼空は、優しい。


私が不安になる度、そうやって安心できる言葉をくれて……。


とても、アイス系男子と呼ばれてるとは思えないぐらい……優しいんだ。



「……つか、今日は本当ヤバい……。……なんで、まだ持ってんの。しかもなんで着てくんの……。」



不意に、まだ触れてる胸から感じる鼓動が早くなった。


蒼空は顔を真っ赤にして、その場にしゃがみ込む。



「蒼空……!?」



慌てて顔を覗き込もうとすれば、ぐいっと腕を引っ張られた。



「きゃっ……!」



何の構えもしてなかった私は、そのまま蒼空の胸へと飛び込む形になる。