【完】一粒の雫がこぼれおちて。






私が掴んだ、蒼空の服の裾をくいっと引っ張れば。


蒼空は少し強い力で裾から私の手を離させ、その手に指を絡めた。



そしてそのまま、歩き始める。



「えっ……ど、どこ行くの?」


「家。」



家……?



「……帰りたくないんでしょ。でも僕は帰りたいから、家に連行。」


「ふぇっ!?」



驚き半分、嬉しさ半分。


ドキドキ……100%



キスの経験はある。


大ちゃんともしたし、蒼空とも何回かしたから。


だけどそれ以上のことは、大ちゃんとも蒼空とも1回もしたことがなくて……。



……正直、怖い。


保健の授業でも、習う度にずっと思ってた。



けど、蒼空となら……。


蒼空となら、私……。