【完】一粒の雫がこぼれおちて。






「そろそろ帰る?」



蒼空がそう言ったのは、ゲームセンターを大分と遊び尽くしたとき。



今日の蒼空は、とことん私に優しかった気がする。



いつもは絶対に嫌がるプリクラも、一緒に撮ってくれたし。


私が可愛いと言った兎のぬいぐるみも、UFOキャッチャーに何回も挑戦して取ってくれた。



やっぱりクリスマスだから……かな?



ゲームセンターを出れば、辺りに飾り付けられたたくさんの電飾。


広場の真ん中には、大きなツリーが綺麗なイルミネーションとして輝いていた。



「……まだ帰りたくない。」



今日はとても楽しかった。


いつもよりずっと、ずっと。



……だけど。


やっぱり、蒼空に言ってほしい……。



〝おめでとう〟って……。