もしここで〝悲しい〟って言ってたら、俺は容赦なく、その弱さに付け込んでいた。
兄さんの代わりとしてでも、美衣奈を慰めていたと思う。
「潤平……アタシはもう、子供じゃない……。」
……うん。
「そうだな……。」
甘やかすのは、もう終わり。
美衣奈も、俺も……。
「……なぁ、美衣奈。」
「何……?」
「好きなんだけど。」
初めての告白。
情けないけど、ありえないぐらい心臓が鳴ってる。
「……知ってる。」
「あ、やっぱり?」
告白の答えを、美衣奈はくれなかったけど。
小さなその手で、俺の手を握ってくれたから。
それで十分と思ってしまう辺り、俺はまだ美衣奈に甘いのかもしれない。
……だけどいつかは。
「あー……本当、好き。」
兄さんじゃなくて、俺を見てほしいと思う。
番外編②
兄さんじゃなくて、 END


