秘密の猫



「あの性悪が考えそうなことだ。
それで?お前のその空っぽの頭で考えてることはなんだ?」





「見てのとおり私はただのお人形。
黙って座っているだけで全て丸くおさまります。ただ王子様がその人形に興味を持たなければの話ですが」





「お前を敵にすると怖いな。」






蒼は呆れたようにそう吐き捨てた。







「だが忘れるなーーーーーー
そのお人形は誰の所有物なのかを」






蒼は私の耳元でそう低く囁いて席を立った。
それと同時に駆けつける離宮の使用人。








「蒼様、お帰りですか?」






「帰って支度をしてくる。ディナーは7時からでよかったな?」





「さようでございます。玄関にお車を用意いたします」








離宮の家ではめずらしく若い使用人。
蒼の機嫌を損ねないように、慎重に会話を交わしていた。