秘密の猫



「こんな所でやめてくださいお兄様、
誰かに見られたらどうするんですか!」





「橘の長男と離宮の愛娘が仲良くしてて何が悪い?鑑賞料をとってもいいくらいだ」







あいかわらず自己中心な王様。
でも私たちはこれがお遊び。
本気になったりしたら終わり。
全てがみんなお戯れ。


それがたとえーーーーーー
姉の恋人を狙っていると妹が目論んでいたとしても。
全てお戯れで許される。








「そういえばお兄様、少し前までこの家に若い庭師がいたんです」






テラスから見える
敷地の中の遠い薔薇園を見ながらそう口を開く。







「あぁあの綺麗な顔をしたやつ」





「私、彼が生けるあの薔薇園がとっても好きだったんです」