いつも目で追ってはいたものの、真剣に考えたことなんてなかった。 だけど今こうして向かい合って、柏木君の目にあたしが映ることはないんだと思うと胸が張り裂けそうなくらい痛かった。 「立てる?」 「あ、はい……」 差し出された手はしなやかで綺麗だけど、大きくてちゃんとした男の子のもの。 この手があたしに届くことはきっとこの先もなくて、ずっとずっとすずのものなんだよね。 柏木君はすずのことが好きで、すずも柏木君が好きで。 2人は両想いなんだから。