「それ」
「え?」
それ……?
相変わらず無表情のまま、茶髪の彼はあたしが手にした何かを指さす。
「食わねーの?」
「え?」
つられて指されたところに視線を向けたあたしは、なんのことを言ってるのかすぐにピンと来た。
お弁当のことだよね?
「あんまり食欲がなくて」
まさか話しかけられるとは思ってなかったから、戸惑いながら返事をする。
「ふーん」
「あ、もし良かったら……食べる?」
なーんて。
なに言ってるんだろう、あたしは。
だけど、欲しそうな目をしているように見えたから……つい口から出てしまった。



