「こっち見ろって」 「な、なんで……?やだよ」 だって、今振り向いたら顔が真っ赤なのがバレちゃうんだもん。 だからお願い、今はそっとしておいて。 早くお弁当に興味を移してよー。 お腹空いてるんでしょ? 「こっち向けって」 そんな声と共に、腕を掴まれ引っ張られた。 「ちょ、ちょっと……!」 腕を掴まれたことで、余計に心臓の鼓動が激しさを増して行く。 ドキドキと耳に聞こえて来るほど大きく鳴っていることに気付いて、郁都にも聞こえてるんじゃないかって不安になった。