「だから、お前にはそうなって欲しくなくて……」
そこまで言うと、片桐は悔しそうに唇を噛み締めた。
そこまで思い詰めているってことは、片桐にとって大切な人がそうなったってことだよね。
そう思うとなぜか胸がキリキリ痛んで、次第に呼吸が苦しくなった。
「屋上にいるから、ツラくなったらいつでも来いよ」
それ以上詳しく話そうとはせず、片桐は固く口を閉ざした。
そしていつもの無表情に戻って、脱いだTシャツを着始める。
その仕草に妙に恥ずかしさが込み上げて来て、思わずパッと顔を背けた。
「悪かったな、無理やりこんなことして」
「ううん……」
あたしが悪かったんだし。
今思うと、なんであんなことを言ったんだろうと不思議だ。
どうにでもなれって思ってたのに、いざそうなると怖くなって。
全部を話したわけでもないのに、ずいぶんと心が軽くなった。
片桐がいてくれたからかな……?
わからないけど、そう思うことにしよう。



