それは夏休み最後の日のことだった。



高校に入ってすぐに出来た友達の真山 すず(まやま すず)に誘われて、猛暑の中自転車で待ち合わせ場所のカフェへとやって来た。



「陽良(ひよ)ー、こっちこっち!」



すでに来ていたすずが、あたしの姿を見つけてにっこり笑いながら手招きする。



汗がダラダラ出続けて止まらないっていうのに、なんですずはそんなに涼しげなんだろう。



「ごめんね、お待たせ」



「ううん、あたしも今来たところだから」



そうは言うものの、すずの顔には一筋の汗も浮かんでいない。