「姫ちゃんは…薄い記憶喪失にあっています…」
記憶喪失……?
俺たちの事は全て覚えていたのに…?
「すべてを忘れたわけじゃないんです。最近の…。突き落とされる前後のことを忘れています」
じゃあ…姫奈は
「何で病院にいるのかわかってないのか?」
肯定するように頷く翔
「昨日、皆さんが帰った後、少し喋りました…すると姫奈は『何でここにいるの?』って聞いてきたんです。身体中が痛いから何かにあったことはわかっているみたいだけど……」
……嘘だろ?
思ったのは俺だけじゃないみたいでみんな放心状態だった
「思い出しかけたのか頭がいたい事を訴えかけてそのまま意識を失いました」
___ガタン!!
ビクッ
急な物音に肩を震わす俺達
「姫奈は…‼︎無事なんだろうな…⁉︎」
取り乱したかのように翔に聞く王
「当たり前です。詳しく検査したけど異常は見られませんでしたから…」
「ならいい……。君たち驚かせてすまなかったな…」
いえいえ、とんでもないです。と否定する徹
「姫奈の事になると本当心配性なんだから…。お爺様の悪い癖ですよ」
「そんなの翔も一緒じゃわい。孫が倒れた。って聞いて焦らない親が可笑しいんじゃ」
……。俺の親は俺が熱を出しても倒れても「仕事だから」の一言で終わらされた
だからか……葬式でも泣かなかったのは…
「お爺様、俺はありがたいです。で、話は戻りますけど…倒れたってことは思い出したと捉えたほうがいいですね。今日、姫奈の部屋の入室は爽くんだけにしますね」
……え?
「なんで俺なんですか⁉︎国王様の方が…」
「お爺様には悪いけど…姫ちゃん、倒れた時にずっと君の名前を呼んでいたんだよ…。君の名前は『爽』だろう?」
「……‼︎」
俺が……姫奈の側にいてて大丈夫なのか…?
「こいつが一緒にいるのは不満だけど…まぁ1日だし許すとするか。じゃ、わしと真珠は帰るとする。何かあったら即電話」
今気づいたけど徹と真白はもういなかった
「というわけで頼みましたよ、マナリア国第一皇子八王子爽サン?」
……責任重大?
「わかりました…」