逆なんだよ。透はあたしのことを大事な仲間であるあなたに近づけたくないの。






「は?こんな女、狙う価値もねぇから。海、お前こいつと1回でもヤッたらお前絞めるから。」






 「は!?なになにその意味深な発言。どーしたの透ちゃん、そんなに怒っちゃって。」






 あぁ、やっぱり透にそういう言葉言われるのは何回聞いても慣れない。弱いな、あたし。






「大丈夫。海?には指一本触れないし。用がないならあたし戻るから。」






 透の言葉を聞いていてもたってもいられなくなったあたしは、空き教室から逃げるように出た。






 だめだなぁ、やっぱり。透の全く嫌いになれてないじゃんか。






 行かなきゃよかった…。心の中で何回も後悔しながら、自分の教室まで戻った。






 教室へ戻るとパンダとゴリラばっかり。勢い良く教室のドアを開けたあたしをみんなが見ていた。






 シーンと一瞬時間が止まったように静まり返った教室は、何事もなかったようにまたすぐにザワザワとうるさくなった。






 今日はもういい。帰ろう。






 カバンを肩にかけて、足早に校舎を出た。まだ午前中、繁華街へ行くには時間が早すぎる。






 赤い頭…探して連れてくればよかった。…まぁ家にいれば適当な時間に来るかな?






 ダルいけど、歩くしかないあたしはさっき来たばかりの道をとぼとぼと歩いた。






 頭によぎるのはさっきの透の言葉。あーぁ、またヘコんでるよ、あたし。






 考えれば考えるほど馬鹿らしくなって、笑えてくる。






 あの時からあたしと透は…変わった。