「どうしたの?」

 生太の小動物のような目が上目線で見つめてくる。

 同性ながらかわいいと思う。

「愛知に話しかけれる?」

 生太は少し考えて、

「いいよ♡」

 と、ハートマークがついたように答える。

「あーいち♡」

 かわいい声。

「・・・あ?」

 愛知が起き上がる。

 二重の少し垂れたような、つっているようなするどい目が開く。

「起きた? 次、理科室だよ? 行こ?」

 ・・・さすが生太。

 生太は何気なく人の心を開かせるのが得意なのかもしれない。

「ん」

 愛知が用具を持って立ち上がる。

 僕らも慌てて立ち上がってついて行く。

 理科室についてからも、同じ半の席に座るが、会話ができない。

 生太が笑って、

「ぶっちゃけ、オレはさっきのこと、全く気にしてないからね。別に気まずくなることはないと思うよ」

 ニコニコって言葉があう笑顔で僕ら3人を見つめる。

 あとからきくと、生太の姉が同性愛者らしい。

 だから、別に抵抗もないんだという。

「わざとらしいフォローかもしれないけど、寄与かみたいのには、そういうことはっきり行っておくべきだと思うし。いいんじゃない?」

 なるほど。

 さすが。

 いとんくんも感服、という様子でうなずいて笑った。

「――別に。嫌やと思ったら無視してええから」

「とりあえずオレは愛知のこと好きだからね♡」

 生太のイメージがupした。

 そのあと、普通に話せた。

 愛知も普通に話してくれた。

 相変わらず久田はあきれ笑いでみつめてきてた。

 久田が気になっていたのは、少しシオンに似てたからかもしれない。