だから、今日はとても珍しい。

しかも今生徒会室にいるのは、私と竹内だけ。

それぞれ部活やら塾やらで初めから来ていないか、顔だけ出して早めに帰ってしまった。


「なんだよそれ、心外。俺、合コンとか行かないし。ピュアだし」

「……どの口がそれを言うの?」

はぁ、とこれ見よがしにため息をついて私がそう言うと、竹内はアハハと笑う。

竹内が学年一……、いや、校内一の女たらしだってこと、知らない生徒なんかまずいないと思う。


────見た目は、真面目を絵を描いたような男なのに。

もともと顔が綺麗だと、どんな格好をしていてもカッコいいものはカッコいいし、目を引いてしまうものらしい。

竹内は校内一の女たらしで、校内一のモテ男だ。


「でも、美夏ちゃんもすごい。普通彼氏いる子に何度も声かける?」


カタン、と持っていたペンを置いてそう聞いてきた竹内は、完全に休憩モード。

そんな竹内のペースに巻き込まれたくないから、私は視線を机の上のプリントとファイルから離さないまま、「まぁね」と相槌を打った。


「たぶん、美夏は気付いてるんだと思うよ。私が彼氏いるって言ってるの、合コンを断るためのウソだってこと。だから」

「はあ!?」