嘘からはじまる、



なんだかどうしもうもない恥ずかしさに襲われて、顔を背けようとしたけれど。

ふいに顎に触れた竹内の指が、いとも簡単に私の顔を彼の方に向ける。



「ちなみに断るとかいう選択肢は初めから与える気ないんだけど。

……それでも、抗ってみる?」



今にも互いの鼻先がぶつかりそうなくらいの距離で。

耳に心地よい、低くて甘い声で、いたずらっぽくそう言って。


今まで知らなかった、初めて見る竹内のどこかキケンな雰囲気に。

まばたきさえできないくらい、目をそらすことも許されないと思うくらい。


心が、目の前のまっすぐな瞳にとらわれてしまった感覚。



「……そういうの、ズルイ」


ポツリ、結局抗うことができないまま呟くと、竹内は少しだけ首をかしげた。

「ずるいって、なにが?」


竹内の余裕たっぷりの表情に、私はキュッと眉を寄せた。