「…………………っ……て。」

こんなに近くにいるのに、聞こえない。



「ごめんなさい……もう一度…。」



「………だ、黙ってて……。」



「…………………え?」


もったいぶった割には、それで?といった感じだ。


「だから!僕があれを借りたこと…だよ」


少し声を荒げ、私の腕を掴む力がより強まる。




「………いや、当たり前…じゃ」
「…ほんと?……ありがとう……良かった………。」

間髪入れず帰ってくる答え。
拍子抜けしてしまって、さっきまでのドキドキが嘘のようだ。