「ブレザーにチェックのスカート。なんてかわいいのっ!!」
新しい制服に身を包み、セミロングに髪をとかす。
 4月。窓から入ってきた春のさわやかな風は、私を新しい世界へ導くように吹いた。
 私、平山杏菜は今日から高校生になる。
 念願だった志望校の県立西高校に見事合格し、晴れて私も花のJKです。
 「友達できんのかなー?あっ、そうだ!」
そう言って私は、鏡の前に立つ。
「やっぱり第一印象は、笑顔だよね。スマイルの練習しなくっちゃ!」
鏡の前でニコっと笑ってみたり、笑顔でおはよーって言ってみる。
そんな事をしていたら、時間が過ぎるのも当然で…。
「こらー!!杏菜、いつまで部屋にいんの~!!遅刻するわよ~~!!!!」
「今行くー。」
母に言われて時計を見ると……時刻は、7:30を指していた。
「キャーッ!ヤバい遅刻!!お母さん送ってってぇぇ~~。」
バックを持って、慌てて階段から降り、車に乗る。


 そして、20分後学校についた。
「ありがとっ。お母さん。」
お礼を言って急いで下駄箱へ行くと、クラス別の張り紙があった。
それを見ていると、後ろから懐かしい声が聞こえてきた。後ろを振り向こうとしたその時、
「「わっっっ!!」」っと驚かされた。
振り返って見るとそこには、同じ学校だった、佐々木優亜と相澤浩がいた。
 優亜は、中学1年の時に引っ越してきた。ちょうど私の席が優亜の前だったから、私がいろいろ教えてあげたのをきっかけによく話すようになり、今では私の大の親友となった。
 浩は、小学校・中学校が一緒だった幼なじみのような存在。
    そして……私の好きな人。
 「もう!二人ともびっくりしたー。」
「へへっ、大成功!」
と浩が言ったとき、優亜が浩の肩をドーンと叩いた。
「大成功!じゃない!私は、浩のでかい声にびっくりした!!」
「わりーわりー。」と笑いながら浩が言う。
 この二人は家が近いせいか、仲がいい。だから仲良くしてる二人を見ると、胸がギューっと締め付けられるように苦しくなる。
まあ、優亜は他校に彼氏がいるから、浩を奪う心配はないけど…。それに、優亜は私の恋を、応援してくれているから大丈夫!!
「杏菜。」
急に優亜が話しかけてきたからビクッ、となってしまった。
「なに?」
気を取り直して答える。
「クラス見た?」
「ううん。まだだよ。」
「ははーん…見に行ったほうがいいよ。」
「え?」
「いいから、今すぐ!!」
優亜に今すぐと言われたから、私は走って見に行く。

え……うそ。クラス別の張り紙を見ると、私はB組。しかもそこには浩の名前も。
私は慌てて優亜のもとへ、ダッシュで走る。
「はぁ…優亜、ひ…浩と同じクラスで、ははぁ……。」
「杏菜、走り疲れてるのに、顔デレデレ…。あはは!!」
そう言って、優亜は笑った。
「あははは……。」
「まあ、私はD組だったから、2人で仲良くね!」
「え!優亜違うの~~!!」
「寂しくなったら、D組に遊びにきな。さあ、校舎行くよ!」
「ふえぇぇ~~~…。」
うれしいと同時にちょっと残念だなー。そんな事を思ってたら、あっという間にクラスについてしまった。
「それじゃあね。」
「うん。」
本当はもっと優亜に甘えたかったけど、困らせてしまうのが怖くて返事は、あっさりとしたものにした。
 「よぉ…。」
教室に行くと浩がいた。
「あれ?いつ来たの?」
「驚かせてからすぐ。」
「ふーん。そうなんだ。」

 そう言うと、少し沈黙が続いた。その沈黙の間に女子たちのキャーとかワーとか言う声が、隣から聞こえてきた。横を向いてみると、そこには女子が15,6人も集まっていた。
えーーーーーーーーーー!!っという心の声が漏れそうになり、慌てて口をふさぐ。
「向井くんカッコいい!!」とか、「春斗くんコレもらって!」という女子の甘い声が聞こえてきたので私は、入学式早々、こんなにモテる人がいるんだ…。と、つくづく思った。