放課後にこんなシチュエーションに合うのは3回目。

今まで放課後になったら速攻で家に帰るのが普段の私。



もしかして、放課後に残っていたら気になる声が聞こえるなんてよくあるのかな?


覗き見の趣味があるわけじゃないけど、今は別だ。


もしも、芹澤くんだったなら話がしたい。


芹澤くんのこと全然知らないくせに余計なこと言ってごめんね、って。


わたしも桐生先生が好きなんだよ、って。


全部、打ち明けたいの。



「ふぅ……」と細く息を吐き、そっとドアノブに手を掛けた。


音を立てないようゆっくりとドアを開くと、僅かな隙間から見えたのは、


「…………どうして連絡くれなかったの?」


「考え事してただけだよ……」



見覚えのあるツーショット。


芹澤くんと神崎先生だ。



もっ、もしかしてまた2人でこの間みたいなことを…………!?



ポンッと頭に浮かぶのは、危険な香りが漂っていた芹澤くんと神崎先生の重なる唇。


芹澤くんに会えたのはいいけど声なんか掛けられる状況じゃないよ…………。