「好きなの?桐生先生のこと?」



答えれるわけ、ない。

でも、答えなくても遥はたぶん知ってるよね?


前に1度だけ言ったことがある。


『先生に恋をしたってところ』


誰とは言わなかったけど、頭の良い遥ならすぐにわかったんだろう。

こんなことを急に聞いてくる遥の考えなんか全然わかんないし、どうしたらいいのかもわからない。


だけど、この真剣な瞳からは逃げられない。


「好き、だよ………」


嘘をつけないと思った。

嘘をついてもすぐにバレてしまう、そんな気がしたの。


胸の奥に閉まうって決めたばかりなのに、ごめんね蒼ちゃん。


今だけ許して……。

自然と目に熱いものが込み上げてくる。


遥のこと見れないよ。

下ばかりを見つめて、固まったように動けない。


「蒼ちゃんが好き」と言葉にすると、切なくて、哀しくて、何を考えていいのかもわからなくなる。



「…………なんで泣くんだよ」



「はるっ…………」