溢れそうになる言葉をグッと飲み込んだ。


言いたいのに、言えなくて。

伝えたいのに、伝わらなくて。


でも、それでも、蒼ちゃんに少しでもわかってほしかった。

わたしがどれほど蒼ちゃんが好きなのか。

愛しくてたまらない。

ただの勝手なわがままだけど、どうかこの瞬間だけは許して欲しいの。


「好き」の代わりの言葉を探して、頭に浮かんだのは“この”言葉。


くるりと後ろを振り向くと、ほんのり顔が赤い蒼ちゃんと目が合った。



この文化祭で何か変わるかな?

ううん。


違う、今度こそわたしが変えるんだ。


言葉がダメならそれ以外の全部を使って、


「ありがとうございます……!」


蒼ちゃんの目の前でにこりと笑った。


「ありがとう」に込められたありったけの「好き」の想い。



わたしだって限界なんだ。

蒼ちゃんが好きで好きでたまらなくて。

気づいて欲しいのに、気づかないで欲しい。


もう、どっちが本当の気持ちなのかさえわからなくなってしまった。


蒼ちゃんにずっと教師を続けて欲しい。

蒼ちゃんにずっと側に居て欲しい。


両方願うのはわがままなことですか?