最後にこの場を逃げるための言い訳を頭に並べて、深く空気を吸い込んだ。
「わたしのクラスはコスプレ喫茶をするんだ!よかったら来て……ください……」
「え?」
突然の謎の言葉にさらに驚いたらしい。
顔を見なくたって、蒼ちゃんが今どんな表情をしているのかがよくわかる。
「桐生先生が来てくれたらクラスのみんなも喜ぶと思うから……!」
主に女子がね、なんて。
これでようやくわたしがメイド服を着ている意味を理解してくれただろう。
宣伝もしてるし文句はないよね?
「そんな後ろ向きで言われてもなぁ……」
「あはは……」
蒼ちゃんには文句があったか……。
好きな人にこんな恥ずかしい格好をどうしても見られたくなくて、未だに背を向けたままだった。
そろそろ教室に戻らないとみんなに怪しまれそう。
それに生徒手帳を遥かに届けないといけないし、早くこの場から離れたいのが本音だ。



