蒼ちゃんに会うのはなんだか久しぶりだ。

緊張のせいか、心拍数が上がっているのがよくわかる。


こんなところで蒼ちゃんに会うなんて予想外すぎて、何を言えばいいのかわからない。


言葉が出ないまま固まっていると、


「その、格好………」

びっくりした顔で蒼ちゃんが私を見ていた。


「格好?」


きょとんと首を傾げてから、ゆっくり自分の体に視線を向けてようやくハッとした。


「あっ………」


ほんの一瞬、とても大切なことを忘れてしまったらしい。

現在わたしは文化祭で使うメイド服を着用中だったんだ。

こんな変な服着て今わたしは蒼ちゃんの前に立っているの?


ようやく理解できた今の状況に、顔が燃えるように熱くなったのがわかる。


叫びたくなるのをグッと堪えて、

「っーーー!」


蒼ちゃんに背を向けて走り出した。