「送るよ」
「へ??」
思わずそんな声が出た。
あたし?だよね?
腕まで掴まれちゃってるし。
ユウキ君だった。
「え、いいよいいよ!大丈夫!!」
あたし送ってもらうとかキャラじゃないし(笑)
「俺が送りたいって言ってんの(笑)」
ユウキ君はあたしの腕を引っ張って
「送ってくからまたね♪」
ってみんなに手を振って歩き出す。
え!なに!!!!!
二人きりとか嫌なんだけど!!
「家どっち??」
本当に送ってくれるんだ・・・
「え、駅方面・・・」
よしっ、て言ってそのまま駅方面に歩き出すユウキ君。
うわ、沈黙。
もー何話していいかわかんないよぉ><
なんで送るなんて言ったんだろ??
あたしより少しだけ前を歩くユウキ君を見る。
やっぱ背、高いな。
「俺、びっくりした」
ユウキ君があたしの方を向く。
「へ?!な、なにが?!!」
うわ、ガン見してたと思われたかも?!!
ユウキ君はそう思ったのかはわからないけど、軽く笑って続けた。
「シュンが理央ちゃんと付き合ってるって」
あぁそれか・・・
あたし的にはあんまり触れたくないんだけどなぁ。
でもユウキ君はあたしがシュンのこと好きなんて思いもしないだろうし。
ここで話逸らしたら怪しいか。
「みんな知らなかったんだね!シュンって秘密主義?!(笑)」
でもほんとに、みんなに言ってないのはなんでだろ??
「もーシュンって呼んでんだ?」
「あ、うん(笑)」
「俺もユウキでいいよ」
「わかった!ユウキね!!」
なんか案外普通に話せる、かな?
「理央ちゃんはただの幼馴染って聞いてたからさ」
まぁそれ聞いたのも最近の話じゃないんだけどねってユウキ君は付け足す。
「理央ちゃんかわいいよねぇ・・・」
理央ちゃんを思い出す。
あのふわふわした長めの髪。
その髪をゆるく結んでるのなんか超絶似合ってて。
性格もふわふわっぽいし。
あんな子見たら。
シュンのこと好きだなんて言えない。
あたしなんかが敵うはずないもん。
「あいつわかんねぇーーー」
ユウキ君がそう言って伸びをする。
ひとりごと??
「あいつに彼女いるなら遠慮する必要ないんじゃん」
なんのことだろう??
「悠李ちゃん」
ユウキ君があたしの名前を呼んで足を止めた。
「ん??」
そしてあたしの前に立つ。
自然とあたしは背の高いユウキ君を見上げる。
そのあとに続く言葉。
「俺と付き合わない?」
え・・・。
あたしは固まる。
告白なんて初めだし、
しかも今日初めて話した人から告白されるなんて思いもしないし!!!!
ユウキ君は余裕ありそうな感じ。
こういうのって緊張するもんなんじゃないの?!
なんであたしの方がパニックになってんの><
「う、うそ・・・?」
「ほんと」
即答。
「俺のこと好きじゃなくてもいいよ。これから好きにさせる」
自信はあるから、ってユウキ君。
ど、どうしよう。
なんて言えばいいの。
好きじゃなくてもいいって言われたら断る理由もなくなっちゃうじゃん!!
でもとりあえずなにか言わなきゃ!!
「あ、あの、あたしユウキ君のこと恋愛的に好きじゃない・・・」
「それでもいいよ」
またまた即答。
「・・・で、でも、好きじゃないのに付き合うのは違うっていう、か」
あたしは必死に言葉を絞り出す。
だんだん声が小さくなっていくのが恥ずかしい><
「そっか」
ユウキ君の意外な返事に顔を上げる。
わかってくれた・・・?
少しホッとする。
ホッとしたのに。
ユウキ君が次に続けた言葉はあたしをまた慌てさせる。
「俺のこと好きになるまで返事は保留でいいよ」
澄ました顔でよくもそんなこと言えたな!!!!!!!
あたしのこと困らせたいのかこの人は?!
好きになるまでって無期限じゃん!!
それ好きになるしかないってことだよ!!
いやむしろイエスの返事しか受け付けてないよそれ!!
遊ばれてる・・・??(泣)
あたしがユウキ君をそっと見上げると普通の顔して
「本気」
って言ってきた。
エスパーかいっ!!!(泣)
ほんとにどうすればいいの・・・。