「はぁ~~~~~~?!」

シュンの言葉にみんなが声を上げる。
みんなって言っても男の子だけなんだけど。

「聞いてねーーー!!!」

マサヤ君がわざとらしく口を尖らせる。
マサヤ君は身長は高めだけど少しだけ幼い顔立ち。
笑った時の顔は子供っぽくてかわいい感じ。


”俺の彼女”
シュンがそう言った。

この現実が痛い。
全部。全部が痛い。


シュンが”俺の彼女”ってはっきり言ったことも。

シュンの言葉で幸せそうに頬を赤らめたあの子の表情も。


これが現実だって、真実だって、あたしに言ってる。

「本藤 理央・・・です」

シュンの隣でその子がそう言った。
少し恥ずかしそうに。


理央ちゃん、ていうのか。

理央ちゃんは、やっぱり可愛くて。可愛くて。どうしようもなく可愛かった。


シュンの彼女がこんなにかわいい子じゃなかったら、なんて。


「理央ちゃん!俺らとバスケしよーよ!!」

マサヤ君は理央ちゃんがすごいお気に入りみたいで(笑)

強引に理央ちゃんを引っ張ってコートに行ってしまった。
それにみんなも続く。



あたしは。






あたしは動けない。







好きなのに。


好きなのに。好きなのに。好きなのに。





好きだけど、だめなんだ。


あたしは下を向く。

なんか、泣きそ。





「行かんの?」


え。びっくりして顔を上げた。


「・・・シュン」

そこにいたのはシュン。

ばか。シュンがいたらだめなんだって。


「シュンこそ」

シュンは
「んー」

って曖昧な返事。

訳わかんないし。


「彼女取られちゃってるよ(笑)」

理央ちゃんがマサヤ君にすごい絡まれてるのが見える。
やっぱり彼氏としては嫌なんだよね?ああいうのって。


「俺は」

シュンの少し低い声にあたしは

「え?」

って反応する。


「俺は別に理央のことそんな風に思ったことない」

シュンが続けた言葉は、あたしにはよくわからなくて。

そんな風って、なに?どういうこと??

理央ちゃんは彼女で、さっき自分でそう言ってて。


「どういう意味?」

あたしはただ聞き返すしかできなかった。

それなのにシュンは、あたしの質問をシカトでコートへと歩き出した。

え、まって。シカト?!
シカトかよ!!!!!!!!!!!

みんなだったらわかるのかな?
あたしが馬鹿なだけ??


でも、もしかしたら。
好きじゃないとか彼女として見てないとかなのかなって。

そんなもしもがあればいいのにって。
思っちゃった。

ちょっとだけ期待しちゃってる。



シュンはコートに入っていって
バスケするのかな?って思ったのに
理央ちゃんをコートから連れ出した。

「おれ、理央送って帰るわ!」

あたしにも聞こえるように大きい声で叫んで二人で歩き出す。

ばいばいもなしか。

二人で帰るんだ。


「あたしもバスケしよ」

二人で歩いてるとこなんか見たくなくて
あたしはコートに戻る。





「今日めっちゃ動いたわ!!」

「きつ~~~い」


さすがにみんなばててきて
そろそろ帰ろうかってなった。

「シュンってば俺らに彼女いること隠すんだもんな~」

「あぁそれな~」

って男の子たち。

隠してたんだ。


「俺が理央ちゃんとってたから怒って帰ったんかなあれ」

マサヤ君が少し申し訳なさそうに言う。



なんだ。やっぱりしっかり彼女なんじゃん。
好きなんじゃん。やきもち妬いてるんじゃん。




さっきの言葉の本当の意味はなんだったんだろう。