「あ、あたし窓側だ。」
黒板に張られた席替えのくじ引き結果を確認しながらあたしは呟く。
「わ、いいなぁ!しかも後ろから二番目とかずるいって!」
あたしの引いたくじの番号を覗き込んでくるのは、堤 詩織ちゃん。
髪型はふわふわなボブでミルクティー色の茶色。そういうかわいいのが似合う女の子。身長も丁度いいくらいの小ささだし、優しいし、いい子だし、高校に入ってすぐに友達になりたいっておもったくらい(笑)
まあ、あたしとは正反対なわけです・・・。
早坂悠李。髪型はストレートに黒髪。身長は161センチとこれまた小柄でもない。まあ特徴というものもとくになく、うん、普通。
別にいいけどね!!!!!
高校に入学して3か月程。
だんだん馴染めてきたかなーってくらい。
とりあえず毎日暑い。溶ける。
でも中学の時とは違って高校にはクーラーというものがあるからね!!
それはそれは教室の中は快適なのですよ。
って、なんの説明してんのこれ(笑)
窓際の自分の席に机を運んでとりあえず座ってみた。
「へーなかなかいい感じ♪」
三階で窓の外はグラウンド。空もきれいだし眺めは綺麗。
いい席に当たったな~
お、だめだめ。ひとりでにやついちゃったよ。(笑)
キーンコーン♪♪
あ、チャイム鳴っちゃった。
嫌だなぁ、授業。ちょっと溜息。
クーラーがついてるって言ったって、授業が憂鬱なのには変わりないわけでありまして。
先生が教室に入ってくる。
あ、一時間目生物か。
生物の授業はとくにつまんないからやだぁ・・・
つまんない。つまんない。つまんない。つまんない。つまんない。つまんない。!!!!!!!!
もー暇すぎでしょ><
あと何分・・・
黒板の上に取り付けてあるよくある丸い時計を確認する。
うそ!!!まだ12分くらいしかたってないじゃん!!!!!!
もうやだ・・・トホホだよ(泣)
あーでもせっかく窓際の席のなったんだしこういう時は外眺めてればいいのか。
窓際席の特権だよね!
視線を外に移す。
ほんとに空きれいだ。絶対外に出たら暑いだろうけど・・・
うん、悪くない♪♪
ちょっとテンション上がってきたかも♪♪
「そっちじゃねえって!こっち!シュン!」
んんんんんん?なになに幻聴?誰こんな大声で叫んでるの。
空を見ていた視線が自然と下に向く。グラウンドの方。
目に入ったのは男子5人。
全然知らない人。ってあたしまだ全然他のクラスの人達わかんないんだけどね(笑)
そもそも一年生なのかな?先輩?
あ、バスケやってる。楽しそう。
でも絶対暑い。焼ける。
三階っていっても目はいい方だし顔も結構見える。
みんな楽しそお。いいな。
体育の授業?
でも制服だ。しかも5人って。授業なわけないか。
あーならあれか。あれしかない。
サボりってやつ。じゃあ、あの人達不良か。
あたしとは一生関わらないようなそんな人達。
気づかないんだろうな、あたしがここから見てるって。
一生そんなこと思いもしないで生きていくのかあの不良組は。ぷ(笑)
なんか楽しくなってきた♪
ありがとう不良さん、楽しい時間をありがとう♪♪
おぉ~い、きづいてますかぁ~ねぇってばぁ~
ぷぷ、気づかないでやんの~♪
なんて心の中で言いながらひとりでにやにやしてるあたし。なんか面白すぎてやばい(笑)
気づくはずないし、気づかれたら困るけどね。
ずっとあたしのにやにやはとまらない。
あれ、あれあれあれ?
なんか二人くらいこっち見てる気がする。いや、まさか。
あ、三人目。・・・四人目、五人目。
・・・・・・・見てんじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
全員見てるって!!え、あたし?!あたしだよね?!
うわーひとりでにやにやしてたから変な人って思われたのかな?!
それとも馬鹿にしてるって思われた?!
最悪だぁ。><
ごめんなさい~~~~~~~~
おそるおそるもう一度外を確認する。
いや、だってほら!あたしじゃなくて、ボールが飛んで行ったのを見てたとか!よくあるってそういうの!
もうあたしってば自意識過剰だなぁ~てへっ♡
的な展開!!!!
うん、まだ望みはある!!!!
あ、だめだ。目合ってるもん、これ。
確実にあたしのことみてました~~~~~~♪♪
はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ん?あたしの目端っこでチラチラ動くものが見えた。
視線をずらして確認する。
5人の中で端っこにいた男の子。
その人が笑顔で手を振ってる。
さっきも言ったけど、三階っていってもちゃんと顔が確認できる。
だから、その手を振っている人の顔をちゃんと見えているわけで・・・
あたしだけが。きっと、あたしだけが。
このクーラーの効いた教室の中で、あたしだけが。
一瞬で熱を持った。
太陽だと思った。
その人の笑顔は太陽だと思った。