今日は運転手で




もう少しで、大きな公園に入る。

緑がいっぱいで、周りの喧騒から、その空間を静かに守っている。

そこにたどり着いて、少し歩調を緩める。
 
あたしは、少し逆らって、緩んだ周防の手から自由になる。

「周防さん、一個お願いがあるんだけど」

「何?」

「嫌だと思うけど、髪の毛、くしゃくしゃってさせて」

「えっ」

きれいに整えられた髪。

「いい?」

怒るかな。

思いながら、手を伸ばす。

周防はサッと辺りを見回して、見つけたベンチに向かう。

「どうぞ」

言って、座る。

あたしより低くなった周防の頭に手を伸ばす。

整髪料のついた髪に触れて、くしゃっとかきまぜる。

ちょっと不服そうな表情がこっちを見てる。

「結構時間かけてたんだけどな」

自然な周防が現れる。

同じ人なのに、全然かっこよくなる。

人を寄せ付けないために、武装してたとしか思えない。

「絶対こっちの方がいい」