今日は運転手で


急激に、深い寂しさに襲われる。

あたしはそれをごまかすために紅茶をすする。

良かったね、吉岡くんに乗り換えないで。

視界の端で、何かがひらひらすると思ったら、カンナちゃんが、自分の傘を、閉じたまま、あたしに向かって振っている。

何だろ?

と、

そのままお店の傘たてに、突っ込んだ。

「ああ」

あたしに、使っていいよって言ってるのか。

あたし、傘、もってなかったもんな。

ここに来るとき、カンナちゃんだけ、邪魔そうに、傘を持ってた。

・・・雨、降ってなかったから。

「ありがとう」

口の形で、わかっただろうか。

手を振って、背を向ける。

スーツ姿も、笑みを浮かべて、会釈して、傘と一緒に視界から消えていく。

あたしは、残りの紅茶をゆっくりと飲んだ。

もう、ぬるい。

っていうか、冷たいな。

ここ出たら、カンナちゃんとアイアイ傘で、駅まで向かう予定だったのにな。

ちょっと、スーツに嫉妬する。

友達、トラレタ。

寂しい?

・・・寂しい。

カンナちゃん・・・

・・・周防さん・・・