ヒールじゃなくなった分、距離ができる。
「後は、服。あのさ、ものすごく着心地重視な服でもいい?」
「いいけど、何で訊くの?」
「一応、好みを訊いといたほうがいいかなって」
「オレがこれがいいって言ったら、それ、着てくれるの?」
「・・・着ない」
「だろうね」
「あ、あれがいい」
あたしは走り寄る。
「自分で買っちゃうんだよね」
「もちろん」
サイズを確認して、レジへ行く。
そのまま、着させてもらう。
元の服は袋に入れてもらって、
「お待たせしました」
いつも、何を着てても無反応だった周防が、ちょっと笑う。
「今までで、一番似合ってるな」
・・・一応、見てるんだな。
「いつもの服装だから」

